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おとうと [映画]

昨日、MMの109で

どこの家庭でもつき合いたくない親戚のひとりやふたりは居るだろう
という「あ〜 わかる、わかる」と頷きたくなる話。
山田洋次だから、それで終わりじゃなくて
そういう世間一般の常識からはずれた人間を
最期まで温かい目で見守っていて
いつものようにちょっと説教臭いけれど
じんわりとさせるいい映画だと思う。

それはそれとして蒼井優とか加瀬亮とか笑福亭鶴瓶の自然な演技の中で
吉永小百合だけ妙に固く感じるのは何故なんだろう?
妙な違和感がある。
今時こんなしゃべり方する人は、あまりいないだろう…と
思う箇所がいくつかあって
それはセリフの言い回しとか言葉の選び方によるのだろうけど
その部分だけ古い邦画を見ているようだ。
(他の俳優は素でしゃべっているような感じなのに吉永だけ芝居をしているように
 感じられてしまうのだ)
たぶん山田洋次の優等生的部分を真面目にそのまま引き受けているのが
吉永小百合なんだろう。
他の俳優は俳優としての"我"が勝っているために
山田洋次が演出しても相乗効果が生まれているのに対して
(例えば鶴瓶などはちゃらんぽらんさが最大限に引き出され、山田の演出で
 哀愁さえ感じられるキャラクターになっている)
吉永小百合の真面目さが山田の真面目な演出で過剰に固く感じられるんじゃないだろうか


映画の最後では鼻つまみ者の"おとうと"は行き場の無くなった者が
入所する施設で親切な人々と姉と姪、姪の婚約者に看取られ
死んでいくが、見ていてふと思ったのは
山田洋次は寅さんの最後をこんな風に撮りたかったんじゃないのかな
という事だ。テレビ版ではハブに噛まれて死んでいるけれど
(寅さんを殺さないでくれと、多くの視聴者から意見が寄せられたらしい)
映画の中では寅さんは死ぬことは無い。
いい歳しても結婚もせず親にもならず旅から旅のその日暮らしを続けている。
「おとうと」の"弟"と良く似ている。
もし死ぬというラストを用意したならば、こういう展開もあったかもしれない。

寅さんと共通するセリフだな〜と思ったのが
「金持ちはケチ」というセリフ
(蒼井優演じる小春が最初に結婚した相手が医者であるにもかかわらず、歯医者に行って
 差し歯にした嫁に対して「そういう事は嫁入り前にやるのが常識だろう」と非難され
 小春は出戻る。ちなみにこの医者が勤める病院はみなとみらい赤十字病院だった)
山田洋次は昔から一貫してそう思ってるんだろうな〜 と、ちょっと笑った。







ゴールデンスランバー [映画]

月曜日、本牧MOVIXにて

なかなか面白い映画だったけれど、謎は謎のまま残されて
エンドロールの後にでも何かしら映像が映るのかな…と思ったけれど
何もなく終わりだった。え〜!?これで終わりなの?って感じ

クスリと笑えるところも多いけれど、最後はなんだか良く考えると
哀しい終わり方だ。


永島敏行は不気味で面白かった。
笑顔がコワイ 車内にひとり、逃げる主人公を窓越しに見ながら
おもむろにヘッドフォンをしつつ笑ってる。わ〜コワイな〜
と思ったらムチムチした身体でライフル構えてるし…
一番印象に残ってるな〜
あとはお父さんと子どもかな
それと濱田岳もとぼけた味が出ていて面白かった。

キャピタリズム マネーは踊る [映画]

先週の金曜日 川崎の東宝シネマズで

キャピタリズムとは資本主義のこと

アメリカで公開されてから日本で公開されるまでの時差があるせいか
生ぬるい感じがするのは気のせいだろうか
最後はオバマ政権誕生泣き崩れるアメリカ人これで世界は変わるのだ
と、意気揚々な感じで終わっているけれどオバマ政権も1年経って
問題は山積みだし解決されるだろうと思っていた事は進展無し
アメリカにもやるせない倦怠感が漂っている頃じゃないだろうか

マイケル・ムーアは良く撮っているとは思う。
言うべき事をキッチリ言っているのさすが
己の信条をストレートにガンガン出しているのは毎度毎度感心する。
アポ無し取材は今回はあんまり成功してるとは言えないけれど
(対象に向かって深く切り込んで言質を取るというのがほとんど無い
 そこまで到達できないんだけど)
曖昧模糊としたものをクリアにしていく姿勢は見事
デリバティブを解明できたらもっと良かったけど

観客は年輩の人が多くてちょっと意外な気がしたけれど
団塊の世代にこそ観てもらいたい気がした。

ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 [映画]

ららぽーと横浜の東宝シネマズで

スウェーデン発のミステリー
スウェーデンのミステリーと言うとクルト・ヴァランダー シリーズのような
陰鬱な雰囲気を想像するけれど(実際暗い。主人公のジャーナリストは偽の
情報を掴まされて嵌められ、裁判で負け禁錮3ヶ月の刑に服する事が決まった
ところから物語が始まる)もうひとりの主人公とも言える天才的な女性ハッカーが
強烈な個性で面白い。
やられたら倍返しでやり返すところが痛快。
(サラ・パレツキーやパトリシア・コーンウェルの影響があるような気がする)

登場人物が多いので、原作を読んでいないと誰が誰やらわからず
(関係も良くわからない 今原作を読んでいて初めて合点がいった所が
 いくつもある)
謎解きの面白さという面ではあまり新鮮みが無いものの
際だった個性の面白さでグイグイひっぱられる感じだ。
(え!?どうしてそういう事になるのか???という予想を裏切る展開が
 あったりして)
事件以外の謎が残ったままなので、続きが非常に気になる。
(エンドロール後 新作の予告があり展開に期待)
ハリウッド映画のようにピカピカしてはいないんだけど、そこがいい所だと
思う。ゴツゴツ、ザラザラした感じがリアルで味がある。


タランティーノがブラピ主演でリメイクを考えているというのを
ひとつの宣伝にしているけれど、タラじゃないだろう これは と思う。
残酷な復讐という面ではタラの得意分野だろうけど、原作が持つ北欧の
雰囲気を残すなら別の監督で撮った方がいいんじゃないか
デヴィッド・フィンチャーとかに撮って貰いたいな〜

(500)日のサマー [映画]

川崎のチネチッタで

これって現代が舞台?と、一瞬思ってしまった。なんだかとても懐かしい感じ
70年代の青春映画みたい。登場人物の着ている服が60〜70年代風で
「スミス?」とヘッドフォンから漏れてる音から聴いている曲を尋ねられるまで
いつの話なんだろう…と思っていた。

音楽の趣味が合う事がきっかけになって、つきあうようになるふたり
サマーというのは、そのサマーという名の女の子の事で
日本で言うなら不思議ちゃん(古い!)みたいな感じの子とでも言えばいいのか
(実際、不思議でも何でも無いけども 恋愛に免疫が無い男子には
 俗に言うファム・ファタールみたいな存在になっているんだろう)

この映画の新しい感覚は映像の斬新さより、キャラクターだと思う。
主人公のトムは恋に恋する男の子であり、サマーは恋愛を信じない女の子
逆の場合は良くお目にかかる。映画の中で別れ話になった時
サマーは「私たちシド&ナンシーみたい」と言う。トムは「僕はシドなんかじゃない」
と言う。しかしサマーの答えは「シドは私よ」だ。ここに全てが集約されている気がする。

「女の子は気まぐれで理解できない」という感想が映画評にあったりするけれど
そういう映画かな〜?と思う。
別れの決定的なシーン ああ彼女の心は離れてしまったんだなと気づくシーンは
映画「卒業」を観たがる彼女 映画より彼女の部屋に行きたい彼
「卒業」を観て涙を流す彼女 「たかが映画じゃないか」と言う彼

映画の冒頭でふたりの子どもの頃のエピソードが入る。
トムは子ども時代自分の部屋で「卒業」を観ている。少なからず影響を受けている。
ある意味本当に純情だったのはサマーの方だったのだ。
たかが映画と言えるトムは「卒業」を卒業してしまっている。

「卒業」が映画の中では出てくるけれど、観ていて思いだしたのは
「ジェレミー」とか「小さな恋のメロディ」とか「フレンズ」とかの昔懐かしい青春映画
主演のふたり(ジョセフ・ゴードン=レヴィットとズーイー・デシャネル)がとにかくかわいい。
(サマーのファッションもかわいい。サマーという名のせいかブルー系の服で統一されてる)
それと、音楽のセンスがいい。サントラが欲しくなった。

釣りバカ日誌20 ファイナル [映画]

本作で最後の「釣りバカ」をMOVIX本牧で観て来た。
ラストと言えど特に大きな変化は無く、すーさんは脳梗塞で倒れ一時意識不明に
なれど、一命を取り留め鈴木建設会長を退職。
(そしてすーさんの娘ふたりが登場していた)
すーさんの意識不明中に見ていた夢(浜ちゃんが見ていた夢が正確か)の中では
三途の川の渡し場で六文銭を自動販売機に入れて切符を買わなければいけない
(その切符で渡し船に乗れるのだ)その六文銭を持たないスーさんは当然
切符を買えず懐からゴールドカードを出すものの、カードなど通用しない。
渡し船の船頭(釣り船屋のハチ=中本賢)は六文銭が払えないなら…と、脱衣婆の所に
案内する。脱衣婆は銭の替わりに衣服をはぎ取っているのだが、この婆が浜ちゃん
着物の前をはだけて突きだした丸いお腹と、相撲取りのような乳を出して踊り出し
スーさんの「高かったのに」と言うスーツをはぎ取り、笑えるような笑えないような
ミュージカルシーンは夢落ちとして終わり、取りあえず良かった良かったお疲れ様でした
と映画は終わる。

微妙にこなれていない感じがした。いくつかのエピソードがあるもののブツ切れで
1本にうまくまとまっていない感じ
私が観た釣りバカの中ではボビーが出た佐世保の回が一番笑えた気がする。
(浜ちゃんが潜水艦に捕まってアメリカまで行ってしまう)
あの頃の破天荒な面白さが欠けているのが最近の釣りバカで、ダラダラ続けるより
これで終わりでいいのかも

そう言えば前回気になっていた一九分けのバーコード頭の人が今回も出ていた。
三途の川の渡し場でスーさんの横であの世の事をとくとくと話していた白装束の男が
たぶん同じ人だと思う。あの人は役者なのかスタッフなのか とても気になっている。

海角七号 君想う、国境の南 [映画]

シネスウィッチ銀座にて

日本じゃここと福岡の劇場でしかやってない。
これから上映館が増えるらしいけど、もうちょっと何とかならないものか…
(ジャック&ベティでやると思ったんだけどな〜)

台湾では台湾制作の映画としては史上ナンバー1のヒット作なんだとか
(すべての映画をひっくるめては2位 1位はタイタニック)
紹介されてから上映されるまで間があったので、自分の中で
いろんな「海角七号」が出来上がっていて、正直「え〜〜!?」と思う部分は
たくさんあった。台湾人はおおらかだ。おおらかすぎるほど、おおらか。
(バスの運転手のよそ見が原因で、人ひとり怪我してるのに
 まったく振り返ることなく通り過ぎちゃうとか
 配達しなくちゃいけない手紙を勝手に開封して読んじゃうとか)

でも、それを差し置いてもこの映画は愛すべき映画だ。
登場人物みんながチャーミングで、憎めない。
キーボードの少女、大大とか月琴の茂じーさんとか

配達されなかった60年前の手紙のパートと、不協和音を奏でるバンドのパートと
うまく噛み合っていないような、もどかしい感じがするのは確かだけど
後半の物語が終息していく過程は、台湾らしい熱気を帯びてて感動的
「野ばら」ではホロリとさせられる。

そして「タンバリンをバカにするな!」
名セリフだな〜

のだめカンタービレ 最終楽章 前編 [映画]

MMの109で

けっこう面白い。
(テレビドラマを見てない人がこのアホノリについてこれるのか心配だけど)
上野樹里のコメディエンヌぶりが、すごい
のだめカレーを作ってる時の表情とか、しゃくれ具合とか
お笑いを本職にしてる人を超えている。
(松竹は釣りバカ亡き後のために上野樹里をスカウトしとけと思う)

ドラマとしての核の部分はちゃんとしていて
(成長物語だよね)演奏部分にしても、感動的。
玉木宏の指揮が上達してるのが、わかるし
(エモーショナルになってきてる。以前は機械的と言うのか
 体操してるような振り付けのようなパタパタした感じがあったけど)
役者ふたりも成長してるな〜と感慨深い。
このドラマの部分とギャグの部分の融合具合がいい感じで
(日本以外で理解されるかはわからないけど)
フジテレビが今年作った映画の中では、かなりいい出来だと思う。
後編を4月とかにしないで、さっさと同時期にやってしまえばいいのにな〜

マルレ・オーケストラの新入り バソン奏者の家族が皆同じ顔
細かいとこまで良く撮ってるな〜〜(ひとり何役なんだ?)
ノースリーブとか 実際あれでケンカしてる場面は笑える
ボレロのひどさも音が鳴っておかしさ倍増
(この場面はホント良く出来ている。どの国の人が見ても笑えると思う)

それとコンマス役の人がいい感じ
俳優なのか?ヴァイオリニストなのか?と思ったら本業、翻訳家
え!?
東京でカルテットのメンバーとしても活動 とプログラムにある。
なかなか得難い人を見つけたな〜

ジュリー&ジュリア [映画]

木曜日 TOHO川崎にて
この映画上映している映画館が少ないのは、どうしてなんだろう
今をときめくエイミー・アダムス×メリル・ストリープが出演
監督はラブコメの名手ノーラ・エフロン
テーマは料理
女の人に受けそうな内容なのに

メリル・ストリープが演じているのがジュリア・チャイルドという
アメリカでは有名な料理家らしく、独特のしゃべり方で演じている。
このジュリア・チャイルドを実際知っているかどうかで
この映画の楽しみ方も変わってくるのかも…
(映画の中で「サタデー・ナイト・ライブ」でダン・エイクロイドがジュリア・チャイルドに
 扮して過激なギャグを繰り広げ、そのテレビ番組を主人公が夫と一緒に笑いながら見るという
 シーンがある。これたぶんアメリカじゃ大受けなシーンなんだろうけど、日本じゃまるっきり
 受けないどころか観客が退いちゃってるのがわかる)

しかしこの映画の中のフランス料理の数々はホントに美味しそう
特にパリでジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)がいろいろな
料理を食べるシーンは、うまいな〜と思う。
舌平目のムニエル食べてウットリしつつ興奮してるところとか
映画はメリル・ストリープの1950〜1960年代のパリでのパートと
現代のエイミー・アダムスのパートが交互に挟まれて進行する作りで
それなりに面白いけど、ジュリア・チャイルドだけの映画でも
面白かった気がする。外交官の夫の赴任のためパリで暮らしているのだけれど
前の赴任先は中国だったとか。
(そのためスパイ容疑がかけられたりしたらしい。マッカーシー政権時代だったので)
中国に暮らしていて中華料理に興味は持たなかったんでしょうかね ジュリア・チャイルドは。
すごい好奇心旺盛でバイタリティー溢れてる人って感じだけれど

面白い映画なんだけれど、ひとつだけ気になったのは
ジュリア・チャイルドが本に書いたフランス料理の数々を実際に毎日
作ってそれをブログに書いていたジュリー(エイミー・アダムス)の事を
ジュリア・チャイルドは快く思っていなかったというエピソードが入るんだけど
(電話でタレコミのシーンがある)伏線かと思ったら、その後何のフォローも無く
結局ジュリーの一方的な片思い(?)のまま終わり、ちょっと見ている方は複雑
ジュリア・チャイルドって、まだ生きてたのか!とビックリし
(あんだけバターたっぷり摂って90過ぎまで生きるってすごいなこの人)
ジュリア・チャイルドが死んだ翌年ジュリーが書いたブログは本になり
映画にもなったと(事実なのです)エンドロールで簡単に説明されるんだけど
結局ジュリア・チャイルドはジュリーのブログを読んだのか
ふたりは実際会う事は無かったのか
ジュリアがジュリーに対してどう思っていたのか、わからないままで
ちょっともやもやっとする。
うがった見方をすればジュリーはジュリアを利用している訳で
冒頭、インタビューさせてと頼んできた友人と実質やってる事は
あまり変わらないのでは?
ジュリアが故人ならともかくブログを書いている時は生きているわけで
後でとってつけのようにリスペクトを表明しても
腑に落ちないと言うか…
上昇志向を全面的に肯定した作りに
「ああ アメリカ人なんだな〜」とメンタリティーの違いを感じる。



風が強く吹いている [映画]

最終日 MOVIX本牧にて

なかなか爽やかでいい映画だったな〜
出だしはぎこちない感じなんだけど、走るシーンになると見応えがある。
朝焼けの中、どこまでも続くすっと伸びた一本道を走るところや
初めてみんなでトラックがあるグラウンドを走るところでは
林遣都の走る姿にビックリさせられる(すごい綺麗な走りっぷり)
「バッテリー」と言いこの子は身体を動かしてないと魅力が活きない感じ
(顔が綺麗なだけにヘタするとお人形さんで終わってしまう)

ハイジ役の小出恵介も良かったけれど、神童役の橋本淳がうまかったな〜
声だけだったけれど、母親役を和久井映見がやっていて(ちりとて親子再共演)
じんわり。

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